調査や施工にお伺いしたお客様から「実際のシロアリ被害の発生率ってどのくらなの?」と聞かれることがあります。
5年点検や10年点検のお客様で、再施工保証の切り替え時期にあたり、更新施工をすべきかどうか検討されている状況で、もし更新施工を行わなかった場合、ご自宅が被害に合う可能性を知りたいのだと思われます。
ベタ基礎か布基礎かによって、当然発生率も変わってきますが、ベタ基礎の歴史も1990年代からになりますのでまだ30年ほどしか経っておらず、客観的データが不足しています。
海青社の「住まいとシロアリ」に、奈良女子大学 疋田洋子先生の研究がありますので、引用させて頂きます。
まず、木造在来工法住宅の損傷発生率ですが、白蟻だけではなく虫害全般として10年以内は2%、15年以内は3%、20年以内で6%程度となっています。
図2は、虫害の内訳の詳細ですが、シロアリ被害が15年以内で3%、20年以内で6.78%となっています。
1989年の疋田先生の研究ですので、1969年頃に新築された住宅の経年調査になります。新築時や5年後の防蟻施工の有無は特に触れられていませんので不明ですが、建築基準法義務化以前の時代ということも考慮すると、特に何もしなければ最低でも20年以内に6%以上の家屋がシロアリ被害に合うと言えますね。
被害に合う確率から考えれば、20年間放置しても90%の住宅は被害にあわないとも言えますので、考え方しだいとは言えますが、被害に合われた時のリフォームの費用や駆除施工の費用と、5年毎に点検施工を行う安心感と比較して下さい。更に言うと、新築から30年以上経った時にご家族の状況の変化や住み替えなどを検討される際に、資産価値から見ますと、例え小規模であっても資産調査時に白蟻被害が確認されると大きな損害になります(売却価格が下落する)。そこまで考慮された上で更新施工をされないということであれば、これ以上申し上げることはありません。
ちなみに、毎日のように5年10年点検にお伺いしている1業者の実感としては、新築10年程度の点検時において、シロアリの被害にあっている住宅は皆無です。一つは新築時の防蟻施工が義務付けられていることと、10年点検をご依頼されるお客様の場合、そもそも防蟻に対する意識自体が高いので5年点検と更新施工をきっちり済ませているので、被害にあわれている可能性が低いと言えます。