• 兵庫県尼崎市の白蟻防除会社

私が本当の白蟻職人として目覚めた日

はっきり思い出せるのですが、自分が白蟻の仕事をしていて、目覚めたといかスイッチが入った日を覚えています。

シロアリの被害に会われたことが無い方はわからないかもしれませんが、白蟻に家を食われて家が倒壊するとか傾くとかそこまで大規模な現象はまず起こりません。明らかに現象が見えて、不快感が生じるのはやはり群飛(ぐんぴ)と呼ばれる白蟻の羽蟻の大量発生です。特にそれが居室内で発生したときにその恐怖を目の当たりにします。そして、群飛行動が起こる場合、その建物はかなりの白蟻被害を受けていると想定されます。

通常、群飛の為の蟻道や穴は屋外に発生するのですが、たまに屋内に間違って発生する場合があります。(白蟻にとって喰い破った先が室内なのか、屋外なのかはわかりません)

私がシロアリの仕事をして数年目のことです、緊急訪問したお客様の室内で白蟻の群飛が発生していました。

2階の室内各所から白蟻の羽蟻が群飛し、ユニットバスの照明の蓋に羽蟻の死骸が溜まって暗くなる程の被害でした。

通常イエシロアリであれば、群飛する穴から数千~数万頭の羽蟻が発生します。

屋外であれば、仮に自分の家から群飛したとしてもちょっと虫が多いなという程度で気がつかないかもしれませんが、室内で発生すると恐ろしいことになります。

そして、私が担当した現場のお客様はご主人が住宅設備関連の仕事をされている職人さんで、水道設備なども扱われている方でしたので、床下や家の構造にも詳しい方でした。

駆除施工当日私が現場に到着すると、ご主人が被害にあった部分付近を全て解体して下さっていました。

通常、被害にあわれたお宅であっても、なかなか大規模な解体はさせて頂けないので、できるとしても壁面に穿孔(穴を開ける)程度ですが、ご主人が職人さんでしたので、壁面のボードや外壁をしっかり解体されており、普段は手の届かない部分まで薬剤施工させて頂きました。

また、2階部分まで激しく食害を受けていましたので、しっかり薬剤散布を行うと1階まで薬剤が流れて色々なところから薬剤が流出し濡れてしまいます。

シロアリを止めるにはそこまで散布しなくてはならなかったので、ご主人に説明させて頂き、1階にかなり液が流れましたが、納得のいく施工をさせて頂きました。

その後、毎年そのお客様の元を訪問させて頂き、再発が無いことを確認させて頂いております。

見えないものを手探りで処置していた状態から、解体してしっかり施工させてもらい、再発を止めたことは自分にとって何よりの経験となりました。

また、ご自宅の壁面を解体してまで防蟻工事に協力して下さるお客様の気持ちに触れたことが、何より私自身を変えました。

その現場が私にとって、白蟻駆除の職人として覚醒させていただいた初めての現場となりました。

その後も、被害を受けた現場のリフォームや解体の現場に何度も足を運びましたが、基本となっているのはその現場で、得難い経験をしたと感謝しています。

白蟻の職人技術として大切なのは、お客様がお住まいになられている状態の住宅を全て解体するわけにもいかず、かといって腰の引けた施工をしていても白蟻の被害は止まりませんし、再発の可能性がつきまといます。

リフォームの解体現場の場数を踏んで、見えない壁内などをX線で見るごとく被害範囲や、根本原因を探ることができ、適切な対処ができるかどうか。

被害を止める為に、作業を行うとどのような影響がお客様のお住まいに及ぶのかしっかり想定して、ご説明を行い、納得頂いた上で作業をすすめていく。

すごく地味な技術ですが、それこそが唯一職人に求められる技術であると確信しています。